「遊タイム」普及に向けて ~
最初は発動ゲーム数の浅い甘デジで遊タイムを体験させるべき
ビフォーコロナのパチンコにおいては、「遊タイム」を始めとする新たな時短機能が話題を集めていました。4月には日工祖が公式サイトやSNS上に公開した動画を通じて、エンドユーザーへのアプローチも開始し、あとは導入を待つばかりという段階にまで至っていたのですが、メーカーでの部材調達の遅れ、パチンコホールの休業要請などから、ほとんどの新機種で導入が延期され、遊タイム搭載機に対する“熱”が一気に冷めてしまいました。
5月中旬からの営業再開以降も客足が満足に戻っていない状況を踏まえれば、「遊タイム」の普及に向けては、販促などを仕切り直し、遊タイム搭載機に対するファンの期待を再び高めていく必要があります。現在、8月納品で「必殺仕置人TURBO」「アクエリオン6」の2機種が遊タイム搭載の甘デジとして納品予定となっております。今回は甘デジを契機とした中高年の呼び戻しと遊タイム普及への対策を考えていきたいと思います。
◆昼間の稼働が低迷し、遊タイムの魅力が発揮できない環境に陥る
以下は、今年の2月と6月における14時と18時のパチンコ平均稼働を対比したグラフになります。
●2020年2月と6月 パチンコ平均稼働
これによると、14時、18時共に2月が6月を約1割上回り、「コロナ前」と「コロナ禍」の稼働差を如実に反映しています。また、いずれの月も14時から18時にかけて稼働が減少する点に相違はないのですが、その減少幅については、2月で2割未満であったのに対し、6月では2割を超え、後者の方が大きくなりました。これらを照らし合わせると、ピークとなる昼間に稼働が十分上がりきらないが故に夕方以降の稼働がさらに落ち込んでいることが分かり、やはり昼間の稼働を支える中高年~高齢層が戻っていないことが稼働低迷の要因であることが窺えます。
この状況を遊タイム搭載機に当てはめていった場合、昼間の稼働で変動数が満足に伸びず、夕方以降に遊タイムのメリットが発揮できていないと捉えることができます。仮に夕方に来店したユーザーが数十回転しか変動していない遊タイム搭載機を見つけた場合、「遊タイムを体験してみたい」という意欲や「お金を使わずに遊べる」という期待よりも前に、「遊タイム発動までに数万円を使わなければならない、数百回転を回さなければならない」という負担感の方が強く働き、「遊タイム」を目的とした遊技は促進されないでしょう。やはり遊タイムは稼働を前提にそのメリットが発揮される機能と言え、データ表示器などで稼働の痕跡を残していかなければ、ユーザーに「遊タイム」への期待を高めることはできません。
また、ライトミドルの遊タイム発動ゲーム数は500~600ゲーム程度となり、当初は「浅い」と感じていたのですが、コロナ禍で未だパチンコ遊技に積極的になれていない現在のユーザーの心理を考慮すれば、もしかしたらこの500回転まで追いかけることすら現状では重いと感じているかもしれません。このネガティブイメージを払拭させるためにも、8月の盆商戦に向けて一旦離れてしまったユーザーを呼び戻し、パチンコ遊技を再び習慣づけていくことも必要です。
これらのことから「遊タイム搭載機」の普及に向けては、「誰かしらが常に着席し、稼働の穴が生まれづらい」「遊タイム発動ゲーム数が浅い」の2つが条件となりますが、現在のパチンコを見渡すと、「甘デジ」がこの条件を満たしているジャンルと捉えることができます。100分の1を上回る大当たり確率から、「遊タイム」ではなく「大当たり」を狙った遊技が常に促進されること、ハマリ台に対して「あと数千円投資すれば遊タイムが発動する」という期待を与えられることがその要因です。
パチンコ営業では、「中高年層の呼び戻し」だけでなく、「遊タイム普及」という観点でも甘デジが重要なカギを握っています。
◆いずれは「遊タイム」搭載が遊技台選びの重視項目になる
今後、遊タイム搭載の新機種が次々と投入され、遊タイム搭載機が一気にスタンダード化していく可能性があります。これまでに発表された遊タイム搭載機を振り返ると、RUSH性能が落ちる、継続率が落ちるなど、遊タイムを搭載したことによるユーザー側の不利益はほとんど見受けられず、ユーザーの間では、近い将来、「遊タイム搭載」が遊技台選びの重要なポイントになっていくかもしれません。今後の遊タイム搭載機を盛り上げていく第一段階として、まずはより多くのユーザーに「遊タイム」を体験させ、そのメリットを実感させていくことが重要です。
9月以降はミドルタイプやライトミドルでも遊タイム搭載の話題機がいくつか登場します。是非とも、まずは甘デジを「遊タイム入門機」として活用しながら、現在パチンコ遊技を躊躇しているユーザーにパチンコの楽しさを再認識させ、9月以降に登場する話題機に挑むマインドを高めていきたいところです。
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