10月のパチンコ稼働を振り返る~来店客の回復へ向けたさらなる課題
これまで、コロナ禍でパチンコホールへの来店を中断してしまったユーザーの呼び戻しに向けて、様々な提案を行なってきました。
今回は10月の稼働データをもとに、これまでの成果を振り返り、さらなる呼び戻しに必要なことを検証していきたいと思います。
◆ミドルタイプは順調に回復、12月は中高年~高齢女性の呼び戻しがポイント
以下は、2020年10月における時間帯別の平均稼働推移です。これによると、ほぼ全ての時間帯において、ミドルタイプが頭一つ抜き出ています。
<2020年10月、時間別平均稼働状況>
ミドルタイプでは、9月より「Pぱちんこ仮面ライダー轟音」「P真・牙狼」「Pルパン三世~復活のマモー~」「Pとある魔術の禁書目録」など、話題機の導入が続いていますが、いずれも前評判を裏切ることのない集客効果を発揮し、ミドルタイプ全体の順調な回復に寄与していることが分かります。
12月も「P真・北斗無双3」「P大海物語4スペシャル」「Pぱちんこ冬のソナタForever」の導入が控え、話題機の投入が途切れることはありません。現在のパチンコの中では比較的安定したジャンルと捉えることができ、12月もこれら話題機の投入と導入告知をきちんと行ない、この良い流れを持続させていきたいところです。
特に今年の12月は、機種ラインナップ上、日ごろなかなか注力できない中高年~高齢の女性の来店を促せる絶好の機会にあります。
前回の記事でもお伝えした通り、「~冬のソナタ」目当てで来店した中高年~高齢の女性に「大海物語4スペシャル」へと回遊させるという流れを作り、男性だけでなく、女性の回復に努めていく必要があります。
◆ライトミドル、甘デジは稼働では伸び悩み、中高年~高齢の常連客の回復が遅れる
ミドルタイプが順調に回復している一方で、ライトミドルや甘デジの稼働は伸び悩みを見せています。特に甘デジに関しては、ミドルタイプの次に設置シェアが高いにも関わらず、ピークとなるべき14~16時の時間帯に稼働が伸びきれておらず、パチンコ全体の稼働にも影響を与えている様にも見受けられます。
この大きな要因は、甘デジコーナー内で設置シェア、客数シェア共に大きなウエイトを占める「甘海」が低迷していることにあります。
<「海物語」シリーズ、スペックジャンル別平均稼働比較>
上の表は、2019年10月と2020年10月における「海物語」シリーズの平均稼働をスペックジャンル別で比較したものになります。
2019年と2020年を比較すると、ミドル海、ライトミドル海、甘海の各ジャンルで稼働が減少し、このうち、甘海の落ち込みの大きさが目立つ結果となりました。これはコロナ前まで「海物語」シリーズ、中でも甘海を主に遊技していた中高年~高齢の常連客が未だホールへと戻ってきていないことを示しています。恐らく、彼らの中にはほぼ毎日ホールへ通い、自ら相性が良いと感じる同じ台の甘海を長時間遊技していたユーザーも少なくなく、1人の離反がホールにとって大きなマイナス影響を与えてしまうことは想像に難くありません。
これは、ウイルス感染へのリスクを憂慮し、ホールへの来店を控える中高年~高齢の常連客が未だいることにもなります。
近い将来、甘海シリーズの最新作が登場し、彼らを一気に回復できる起爆剤となっていくことが望ましいのですが、残念ながら、その様な機種は見当たらず、常連客が満足に戻らない現在の状況はもうしばらく続くでしょう。そう考えると、甘デジコーナーにおいても、集客ターゲットとする年代の幅を広げ、中高年~高齢の常連客と同時に、若年~中年のユーザーや女性客など幅広い客層を取り込んでいく必要があります。
そのためには、多品種を少台数ずつ、満遍なく導入するという従来の新台入替を行なうのではなく、有力なタイトルではまとまった台数を導入し、ユーザーの注目度や期待度を高める販促や施策が求められます。
◆これからは甘デジの再強化がポイント
10月の全体稼働状況では、ミドルタイプが好調を保っているのに対し、ライトミドルや甘デジで伸び悩みを見せていることが明らかとなりました。さらに12月以降の機種ラインナップやコロナ禍の社会環境などを踏まえると、この状況はもうしばらく続くことが予測されます。
ただ、ライトミドルについては、遊タイムや1種2種タイプとの相性の良さから、「Pモモキュンソード」や「P戦国乙女6」など、好実績を残している機種も登場し、いわゆる遊タイム狙いで稼働が自ずと伸びる可能性が秘められています。
そう考えると、今後のパチンコ運営においては、やはり甘デジの再強化が1つのポイントとなります。上述した通り、現在の甘デジはピークとなるべき時間帯に稼働が上昇しきれておらず、先ずは好調なミドルタイプからユーザーを流入させ、この時間帯の稼働を底上げすることが有効です。そのためには、注目を集められる機種を投入し、ミドルタイプで勝てなかったユーザーが帰り際に甘デジでもうひと勝負するという回遊を生み出していった方が良いでしょう。
設置シェアの高さやユーザーの間口の広さなども考慮すれば、甘デジの人気回復は業績の回復に欠かせません。甘デジにおいても、若年~中年層(主に20~40代)にターゲットを広げる、有力なタイトルはまとまった台数を確保するなど、ミドルタイプと同様の施策を実施し、強化に取り組んでいきたいところです。
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