年明けのホール状況、どう変わった!?

■経済の回復は“ワクチン”と“オリンピック”がカギ?

2021年1月に新規感染者数の多い1都2府8県を対象に2回目の緊急事態宣言が発令され、2月には栃木県を除き、対象期間が当初の2月7日から3月7日へと延長された。Gotoキャンペーンをきっかけに回復の兆しが見られた景気が再び停滞し、「この状況がいつまで続くのか」は誰もが気になるところですが、今後のコロナ終息と景気回復までの道筋を想定した場合、「ワクチンの普及」と「東京2020オリンピック・パラリンピック」が鍵を握ると考えられます。

先ず「ワクチン」に関しては、NHKの新型コロナウイルスに関する特設サイトの中で以下の通り、記載されています。


厚生労働省は25日、ワクチンの接種体制の整備について改めて想定のスケジュールを示しました。
それによりますと、ワクチンが承認されれば
▽できるかぎり来月下旬から1万人から2万人程度の医療従事者に先行して接種を始めたいとしています。
続いて
▽3月中旬をめどに医療従事者をおよそ370万人に、
▽3月下旬をめどに65歳以上の高齢者およそ3600万人に接種できる体制を確保し、
▽その後、基礎疾患のある人などを優先しながら順次、接種を進めるとしています。


つまり、医療従事者、高齢者を優先上位として春頃から接種を開始する予定であり、このスケジュール通りに進めば、夏から秋頃にかけて一般の人へのワクチンの普及と共にいわゆる“マスクなし”の生活が徐々に許容され、人々の間で消費活動が自発的に再開されると予測されます。

一方、オリンピックに関しては、様々な報道から、7月23日~8月8日の期間内に無事に開催し、成功させることを景気回復の起爆剤としたいという政府の意向が窺えますが、そのためには開催中止など、ネガティブな風潮を払拭させ、オリンピック開催への機運を高めていく必要があります。その1つの施策がまさに経済振興であり、恐らく消費拡大の見込める4月からG.W.の期間に向けて、一時中断しているGotoキャンペーンを再開するなど、政府のバックアップによる何かしらの消費支援が実施されていくでしょう。

この様に考えると、2月7日に予定される緊急事態宣言解除後~3月下旬の第1タームで、新規感染者数を減らして停滞感や不安感の漂う世の中の空気を変えることができるか、4月~G.W.の第2タームで具体的な消費振興策を打ち出し、消費者のマインドを高めることができるかがコロナ終息と景気回復へ向けた1つの指標となり、逆にこの期間にワクチン接種開始の遅れ、オリンピックの中止や再延期決定など、ネガティブな事態が起こった際には、景気の回復はさらに遅れると思われます。

緊急事態宣言の期間延長が検討されるなど、まだまだ先の見通しを立てることは難しい状況にありますが、パチンコホールにおいても、G.W.商戦を業績回復の1つの転機と捉え、そこへ向けた準備を行なっていきたいところです。

■パチンコ、パチスロの稼働は下落していないが、「沖ドキ」撤去の影響が徐々に表れる

2度目の緊急事態宣言を受け、パチンコホールについても、夜8時以降のネオン、看板照明の消灯、新台入替などの広告宣伝の禁止が通達されました。ただ、下表にある緊急事態宣言後の稼働状況を見ると、4円パチンコ、20円パチスロ共に大幅な下落には至っておらず、1回目の緊急事態宣言に比べてダメージが少ないことが分かります。

●4円パチンコ稼働推移

●20円パチスロ稼働推移

この要因としては、営業そのものの自粛を要請されなかったこと、緊急事態宣言の対象区域が全国でないこと、1月上旬に新台が多く導入されたこと、パチンコホールが緊急事態宣言による影響の少ない郊外に多く出店していることなどが挙げられます。

特に20円パチスロは、「沖ドキ」撤去という大きな出来事があったにも関わらず、11月と同水準の稼働を維持しました。これは下表の通り、「ジャグラー」シリーズの稼働が2020年11~12月よりも大きく上昇していることが影響しています。12月にはシリーズ初の6号機「アイムジャグラーEX」が導入されたこともあり、ジャグラーの強化で「沖ドキ」撤去後のユーザー離反を回避したと捉えることができます。

●「ジャグラー」シリーズ稼働推移

また、「沖ドキ」撤去に際しては、後継機となる「沖ドキ2」を大量導入して強化に踏み切った店舗も多く、「沖ドキ2」でも稼働の回復が見られました。しかしながら、30φ全体では、「沖ドキ」打ち納めの特需が収まり、1月18週の稼働が11月の水準にまで低下しています。「沖ドキ」の代わりを十分担える機種が未だ登場していないこともあり、今後、「沖ドキ」撤去のダメージはさらに広がっていくでしょう。

●30φ全体稼働推移

さらに30φ全体を見ると、「沖ドキ」撤去を境に粗利が大きく低下し、売上性能の高い旧規則機撤去が粗利面で大きなダメージを与えていることも示されました。

●30φ全体粗利推移

「沖ドキ」撤去後のパチスロにおいては、30φの稼働と粗利を回復させていくかが大きな課題と言えます。今回、「沖ドキ2」の大量導入で「沖ドキ」撤去に対処した店舗も多かったのですが、やはり現在の台数で稼働を維持していくことが難しいという声も一部で聞かれており、「沖ドキ2」の減台を含め、30φ全体の機種構成や粗利配分を見直す必要がありそうです。

■パチスロユーザーのパチンコへの移行も効果的、ただ、注目は甘デジ・ライトミドル

パチスロと比較して、パチンコは新機種のラインナップが豊富で、「ミリオンゴッド~」撤去時と同様、パチスロユーザーをパチンコへ移行して、全体的な稼働や粗利を維持することも有効です。
ただ、下の1円パチンコ、5円パチスロの稼働状況を見ると、2回目の緊急事態宣言を受け、ユーザーの遊技スタイルに変化が生じている点には注意が必要です。

●1円パチンコ稼働推移

●5円パチスロ稼働推移

上のグラフでは、1円パチンコ、5円パチスロ共に、1月18日週の稼働が11月や12月から大きく減少しました。低貸コーナーには、もともと限られた予算でゆったり長く遊びたいというユーザーが多く、この稼働減少は、2回目の緊急事態宣言でユーザーがホールに長時間滞在することを再び控えていることを示唆しています。

この様なユーザーに対し、パチスロからパチンコへの移行を進めたとしても、9~12月の様に彼らがミドルタイプでじっくりと勝負することが起こりづらく、特にウイルス感染防止への意識が高い中高年層やシニア層の間でその傾向が強く表れると思われます。本来であれば、パチスロで減少した粗利を補完すべく、ミドルタイプ中心で新台入替を行ないたいところですが、ユーザーがミドルの遊技を避けるリスクがあり、その効果が十分に発揮されないケースも起こり得るのです。

これらを踏まえると、短時間で遊技を完結できる甘デジやライトミドルに注力していくことが重要です。特にここ最近は甘デジやライトミドルでも突破型のシステムなどを活用し、展開に恵まれた際にはミドルやハイミドルに匹敵する出玉を獲得できるスペックが増えています。もともと「沖ドキ」はパチスロの中でも中レベルの射幸性を備えた機種であり、これら突破型甘デジ・ライトミドルの持つ投資と出玉のバランスは、パチスロユーザーにも十分受け入れられるはずです。

ある意味、現在の甘デジは単に「低投資で長く遊べる」だけでなく、「勝ちを期待できる、出玉の満足感を享受できる」という魅力も持ち合わせており、この“勝ちへの期待感”を遊技動機として、甘デジ・ライトミドルを通じたパチスロユーザーの移行を促進させていきたいところです。

■パチンコは甘デジ・ライトミドルの強化、パチスロは30φの再構成でリスタートすべき

2度目の緊急事態宣言、「沖ドキ」撤去という大きな出来事を経て、現段階ではパチンコ、パチスロ共に何とか稼働を踏みとどめている状況にありますが、週を重ねるごとに稼働が徐々に低下している点に着目すると、2月以降、ダメージがさらに大きくなることが予測されます。
ただ、「ワクチンの接種開始」「オリンピック開催に向けた経済振興」という観点から、春先より消費回復の機運が高まる可能性は否定できず、そこに向けた準備も必要です。

現在のパチスロの動向を見ると、「ジャグラー」シリーズはユーザーへの還元を交えて稼働重視で運用しなければならないこと、3月から導入が本格化する6.1号機の評価や実績が不透明なことから、先ずは「沖ドキ」撤去後の30φコーナーのケアを行ない、30φの機種構成の適正化と新たな粗利構造の確立に取り組んでいかなければなりません。また、パチスロ回復の起爆剤が見当たらないことから、甘デジ・ライトミドルの強化を通じてパチスロからパチンコへとユーザーを移行させ、客数の維持、パチスロで減少した粗利の補完に努めていくことも重要です。

これらの施策を通じて、回復へ向けたリスタートに踏み切りたいところです。

※ 当サイトで使用しているホールや機械の画像はすべて許可を取り撮影し、掲載しております。

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