中高年ユーザー回帰の兆し~アフターコロナへの第一歩
2月に入り、パチンコホールに中高年~高齢ユーザーが戻り始めているという話を各所で聞きました。今回は稼働データなどを参考に「中高年ユーザーの回帰」について検証したいと思います。
●2020年1~3月、4円、1円パチンコ稼働推移
上のグラフは、2021年1月から3月までのパチンコの稼働推移を示したものです。これによると、1月から2月にかけて、4円パチンコ、1円パチンコ共に稼働が上昇しています。このうち、長らく低迷していた1円パチンコについては、大きく上昇し、1回目の緊急事態宣言が解除されて営業を再開した昨年の6月以降、最も高い水準に達しました。
3月は多くの新台入替を直前に控えた1週目のみの稼働を抽出しているため、4円パチンコでは減少、1円パチンコは横這いで推移していますが、3月も新機種は充実しており、1ヶ月全体で捉えた場合、2月から大きく減少していくことはないかと思われます。
この動きは「海物語」シリーズにも見られています。下のグラフの通り、4円海、1円海の双方で回復基調にあります。
●2020年1~3月、4円、1円「海物語」シリーズ稼働推移
「海物語」シリーズについては、2021年より認定切れなどで旧基準機が徐々に撤去され、設置シェアは減少しつつあるのですが、客数シェアはその減少分以上に上昇しており、昨年秋ごろの低迷から一転して客足が戻ってきていることが分かります。特に1円の「海物語」シリーズは、1円全体よりも上昇幅が大きく、3月も上昇を続けています。「海物語」シリーズの回復が1円パチンコ全体の稼働に好影響を与えたと捉えることができるでしょう。
2月には、甘海の新作「P大海4スペシャルwithアグネス・ラム」が導入され、甘海コーナーのリフレッシュが図られたことも好影響を与えているかもしれません、
一方、パチスロの稼働を見ると、20円、5円ともに横這いで推移しています。1月に「沖ドキ」撤去という大きな出来事がありましたが、そのダメージを最小限に抑え、何とか踏みとどまっている様子が窺えます。ただ、下のグラフが示す通り、「ジャグラー」シリーズの稼働が頭一つ抜き出ており、20円、5円共に「ジャグラー」シリーズが全体の稼働をけん引していることは確かです。6.1号機のATタイプがユーザーにどの様に評価されていくかが不透明なこともあり、当面は現状維持が続くと考えられます。
●2020年1~3月、20円、5円パチスロ稼働推移
◆中高年回帰の兆しが見える、1人の回帰がホールの営業に大きく貢献
この1円パチンコと「海物語」シリーズの稼働上昇を見る限り、やはりコロナ禍で最も回復が遅れているとされた中高年~高齢の常連客がホールへと戻り始めていると捉えることができます。コロナ終息を決定づける出来事は起こっておらず、景気回復へのマインドも高まっていないため、この明確な根拠を見つけ出すことは難しいのですが、緊急事態宣言中も営業時間を短縮しなかったこと、ワクチン接種が開始されたこと、2月11日と23日に単日の祝日があったこと、年金支給日があったこと、多品種の新機種が投入されたことなど、業界内外での出来事が総合的に作用し、中高年~高齢層の回帰に繋がったと言えるでしょう。
以前の記事で、中高年~高齢の常連客はほぼ毎日ホールへ通い、自ら相性が良いと感じる同じ台を長時間遊技していたユーザーが少なくなく、1人の離反が大きなダメージに繋がることをお伝えしましたが、これを逆に捉えると、中高年~高齢層の1人の回帰が稼働や売上に大きなプラス影響を与えることが期待できます。これがアフターコロナへの第一歩となる可能性は十分秘められています。
この流れを受け、中高年~高齢層の再強化に取り組むホールが早くも見られています。先読み通信差調べでも「Pぱちんこ冬のソナタForever」で、一時期15万円程度にまで下落していた価格が30万円台にまで再び上昇しました。「海物語」シリーズと並んで、中高年層向けの代表的機種とされる「冬ソナ」を活用することによって、ホールへと戻り始めている中高年層を定着させ、売上や稼働を安定させることを狙っているようです。
◆中高年の回帰はパチンコシフトへの大きなチャンス
第1回目の緊急事態宣言が解除され、営業を再開した昨年の6月以降、若年ユーザーのホールへの戻りが早かったこと、旧基準機の撤去が1年延期されたことが影響し、パチスロに軸足を置いた運用を行なっていたホールが多かったかと思われます。しかしながら、2021年3月の段階では、旧基準機の撤去などが影響し、「ジャグラー」シリーズで何とか稼働を踏みとどめている状況にあります。6.1号機の評価が定まっていない現在、新たな施策に取り組むことも難しく、恐らく、現状維持で我慢の営業を続けざるを得ないかもしれません。
その一方で、コアユーザーとされる中高年~高齢層が戻り始めたことで、パチンコには大きなチャンスが到来しています。4月以降は、新たな「総量計算」に対応した新機種が次々と投入され、5月には「北斗」、6月には「牙狼」と大型タイトルの新作の登場も予定されています。また、遊技機に関するCMも解禁され、ユーザーの間でパチンコへの注目が高まっていくかもしれません。新機種のタイトル数も充実しており、甘デジ、ライトミドル、ミドルのあらゆるジャンルで様々な強化策を打ち出せることは確かでしょう。
まさに運用の軸足をパチスロからパチンコへとシフトさせる転機を迎えており、これを成功させることによって、コロナ禍と旧基準機撤去という2つの困難を抱える2021年のホール営業をより安定させていきたいところです。
そのためには、先ずは現在の中高年層の回帰を一過性のものしないことが重要です。中高年向け機種を充実させる、ウイルス感染防止対策を徹底するなど、様々な施策を通じて、戻り始めた中高年~高齢層の定着に努めていった方が良いでしょう。
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