若年ユーザーの新規獲得に向けて ~その重要性やメリットとは?

先日、先読み通信が実施したアンケートでは、20~30代の若年ユーザーを新たに獲得してきたいという意向が示されました。その施策として、SNSでの情報発信、口コミを強化すると考えている意見も多く見られています。

【過去記事】第8回 ホール様限定!先読み懸賞付きアンケート~ 顧客獲得の取り組みについて ~集計結果

ただ、若年ユーザーの新規獲得というテーマは、パチンコ産業において長年掲げられてきたこともあり、ある意味、SDGsの様な遠い目標や理想の様な位置づけとなってしまい、ここ最近は、その意義や効果、それを実現するための手法が漠然としてしまっている様相は否めません。

そこで今回は、若年ユーザーを獲得することはホールにとってどの様なメリットをもたらすのか、若年ユーザーを獲得するにはどの様なアプローチが有効かなどをより具体的に検証していきたいと思います。

◆若年ユーザーを獲得するメリット~18歳~20代はパチンコ遊技への入り口

先ず、若年ユーザーを獲得することはホールにとってどの様なメリットをもたらすのか。これは、以下の表が明らかに示しています。

※「レジャー白書2013」より

これによると、パチンコ遊技を開始した年代は20代が半数を超え、次いで15~19歳(実質18~19歳)が3割弱を占めますが、30代を超えると1割を下回り、実に8割以上のユーザーが10~20代の若い年代でパチンコ遊技を開始したことが分かります。

若年層は中高年層と比較して、新規のレジャーや余暇(興味を持ったもの)に対してアクティブに行動できること、パチンコに対する偏見や先入観がさほど強くないことがその要因と考えられるでしょう。今回掲載した表は2013年と少し前のものになりますが、世間一般でのパチンコに対するイメージや認識には当時から大きな変化はなく、恐らくこの傾向は現在も続いていると思われます。

つまり、18歳~20代は新規ユーザーを最も獲得しやすい年代であり、逆に捉えた場合、この年齢の間にパチンコ、パチスロに触れる機会のなかった人は一生涯、パチンコ、パチスロを遊技することはないことが示されています。

当然ながら、18歳~20代は年齢を重ねても末永くホールに通う、将来の常連ユーザーになる可能性も秘めています。少子高齢化などを背景に現在のパチンコホールには中高年層やシニア層が多く見受けられますが、ホール営業を長期的に持続させていくためには、常連ユーザーを常に確保する必要があり、その意味でも新規の若年ユーザーを獲得することはホールに大きなメリットをもたらします。

◆若年ユーザー獲得への効果的な施策~

新規の若年ユーザー獲得を目的として、SNSを活用したプロモーションや版元とのコラボキャンペーン、ファンイベントの開催など、様々な施策が定期的に実施されていますが、遊技機に関するCMが解禁された現在、若年ユーザーに人気の高いコンテンツを扱った新機種をホールに導入することも大きな成果へと繋がることが期待できます。実際、好きな版権のパチンコ化をきっかけにパチンコ遊技を開始した若年ユーザーが多いためです。

そこで、夏から年末に向けて登場する話題機の中から、コンテンツに人気があり、かつまとまった台数での販売が見込める「機動戦士ガンダム」「乃木坂46」「新世紀エヴァンゲリオン」の3種類をチョイスし、それぞれの世間一般での好意層を調べてみました。

※「機動戦士ガンダム」シリーズの好意層

「機動戦士ガンダム」シリーズは、男性40代の支持が最も高く、次いで男性50代、男性30代と続きます。今回パチンコに起用された「ガンダムユニコーン」は2016年4~9月に放映された作品であり、若年層の視聴者も少なからずいるのですが、実際のコアなガンダムファンは、1980年代のファーストガンダムをリアルタイムで知る40代後半~50代に多いことが分かります。「ガンダムユニコーン」は、このファーストガンダムのストーリーと関連付けた作品でもあり、パチンコ版についても、恐らく若年層以上に中高年層の方が強い関心を示す可能性が高いでしょう。

この様に考えると、「Pフィーバーガンダムユニコーン」では、中高年男性のユーザーをコアターゲットに据え、現存する常連客の確保、及びパチンコを離れたスリープユーザーの呼び戻しに主眼を置いた運用を行なうことが効果的と言えます。テレビCMが積極的に展開されたことで、久々にパチンコに関心を示した中高年男性も少なくなく、彼らに向けた施策を展開することが有効でしょう。

※「乃木坂46」の好意層

「乃木坂46」は40代男性、30代男性、20代男性の順で好意層が多いのですが、特定の年代で大きな偏りがなく、また、他のコンテンツと比較して10~20代の比率が高い点が特徴的です。「乃木坂46」は「AKB48」の公式ライバルとして2011年に誕生したアイドルグループですが、現在はソロで写真集を発売したり、バラエティ番組に出演したりするメンバーも多く、若年層の間でもファンを着実に増やしていることが分かります。

また、男性だけでなく、10~20代女子の好意層が多い点も注目されます。他の女性アイドルグループと比較すると、美少女系のメンバーが多いだけでなく、人気メンバーが女性向けのファッション雑誌にモデルとして次々と登場しており、若年の女性から憧れや羨望の眼差しで見られていることが要因です。恐らく「乃木坂のパチンコ化」は女性からも好意的に捉えられることが予想されます。

この10~20代はSNSの利用者が多いため、「乃木坂46」はSNSを活用した宣伝効果や情報拡散効果が最も大きいコンテンツとも捉えられえます。メンバーの中には、ツイッター、インスタグラムを開設し、ファンと定期的にコミュニケーションしているケースも多く、これらとの相乗効果も期待できます。パチンコ版を導入する際には、是非ともSNSでの宣伝を強化したいところです。

 

◆「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの好意層

「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズは40代男性が最も高く、次いで30代男性、50代男性と続きますが、グラフの分布を見ると、コアな好意層は「機動戦士ガンダム」シリーズよりも1つ下の世代となる30~40代前半の男性と捉えることができます。今年3月に公開された新劇場版の完結編「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が7月11日の時点での興行収入99.9億円を超える大ヒットを記録したことにより、2021年は「エヴァンゲリオン」が再び大きな話題となっており、パチンコ版の最新作もまさに「最高」のタイミングで導入されることが期待されます。

「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズには、「現在もエヴァだけはパチンコを続けている」というライトなファンも多く、パチンコ版の最新作が導入された際には、ライトユーザーの集客が期待できます。ただ、これまで「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズは“若年ユーザー向けのコンテンツ”というイメージが長らく定着していましたが、今回の結果を踏まえる限り、年数の経過と共にコアファンの年齢層も上がっており、どちらかと言えば、前回のアンケート「獲得したい客層」にて次点回答に挙げられた「30代」の集客で大きな効果を発揮する点には注意が必要です。

「新世紀エヴァンゲリオン」のコアターゲットは30~40代前半へとシフトしており、中年ユーザーの集客に主眼を置いて販促を仕掛けていった方が良いでしょう。

この様に各コンテンツの好意層を比較すると、「機動戦士ガンダム」シリーズは中高年層の呼び戻し、「乃木坂46」は10~20代男女の話題喚起とホールへの来店、「新世紀ヱヴァンゲリヲン」シリーズはライトユーザーを含めた30代の呼び込みを期待できるコンテンツと言え、今回テーマとしている「若年ユーザーの獲得」には「乃木坂46」が有効と考えられます。

今回のパチンコ化について、「パチンコは未経験だけど乃木坂のパチンコなら遊技してみたい」と感じる乃木坂ファンも少なくないはずです。「乃木坂46」のパチンコは、10~20代の若年層に新たにパチンコに興味を持ってもらい、パチンコ遊技を始めさせるきっかけと十分なり得るかもしれません。

◆若年ユーザーを獲得する意義~人口ボリュームが少ないからこそ獲得に注力すべき

少子高齢化の進む現在、シニア層や40~50代(いわゆる団塊ジュニア世代)と比較して10~20代の人口ボリュームが少なく、アンケート調査、プロモーションなど様々な側面で若年層の意向や意見が全体の結果に反映されづらい傾向にあります。仮に同じ販促を実施したとしても、人口ボリュームの多いシニア層や団塊ジュニア世代での反応が良いケースが多く、そこから、若年層向けの施策は十分な成果が挙げられないと感じている人も少なくないでしょう。

しかしながら、世間一般で「Z世代」と称されている様に、20代は情報発信力と購買意欲が高く、様々な産業で注目されている年代であることに相違はありません。絶対数は少ないながらも、1人あたりの売上、情報発信への貢献は大きく、ホールにおいても、固定客を1人確保することは大きなメリットをもたらすはずです。さらに上述した通り、18歳~20代はパチンコ、パチスロの遊技を始める人が最も多い年代でもあり、新規顧客の獲得という観点で最重要視しなければなりません。

この若年ユーザーは、学生時代に既にスマートフォンやSNSが身近に存在していた「スマホネイティブ」「SNSネイティブ」であり、スマートフォンやSNSを通じて、情報を発信、収集、拡散することがごくごく自然に行われてきました。そのため、SNSを活用したプロモーションが、個々人の情報拡散や口コミを通じて、自ずと話題の盛り上がりや集客アップへと直結しやすく、まさに前回のアンケートで強化したいとしていた「SNSでの情報発信」や「口コミ」による販促効果が大きく期待できる年代でもあります。

盆商戦向けの新機種の導入もひと段落しましたが、来年1月までに旧規則機から新規則機への入れ替えは続けていかなくてはなりません。その一方で、ここ最近は、人気の旧基準機の撤去が影響したためか、パチンコフロアにおいても、パチスロフロアから流入してきたと思われる若年ユーザーを多く見かけるようになってきました。

若年層の関心がパチンコに向いている絶好の機会でもあり、これから年末商戦にかけては、この「Z世代」の特徴に着目し、若年層獲得へ向けた販促を仕掛けていきたいところです。

※ 当サイトで使用しているホールや機械の画像はすべて許可を取り撮影し、掲載しております。

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