横浜市 IR誘致を正式表明

パチンコ・パチスロと直接関係がある話ではありませんが、この業界にいれば誰しもその動向が気になるであろう「IR」関連で大きなニュースがありました。頑なに手を挙げなかった横浜市が、いよいよ正式に誘致を表明したとの事です。

 

良い機会なのでIRの現状をちょっとだけまとめてみましょう。

 

ご存知の通り、今回のIR法案では設置地域を三箇所に限定しています。誘致したい! と声を上げても、必ず出来るわけではありません。IRは巨額のお金が動くビジネスなので全国の色々な地域が誘致に積極的に動いています。現在ところ留寿郡・苫小牧(北海道)お台場(東京)幕張(千葉)横浜(神奈川)名古屋・常滑(愛知)夢洲(大阪)マリーナシティ(和歌山)ハウステンボス(長崎)が候補地として名乗りをあげており、その中で特に可能性が高いと言われているのが「大阪」「長崎」「北海道」の三箇所です。

 

東京が入ってない事に疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、理由は簡単です。そもそもIRは地域の活性化を名目にしている部分があるからです。つまり放っといても観光客が来ている場所に作る意味はさほどなく、そういう意味では「東京」が下馬評に上がらないのも頷けます。作るなら東京を核とした移動一時間程度の経済的なシナジーが狙える都市とのクラスタ構造にすべきで、今まではそこで検討されていたのが千葉だけでした。今回はそこに「神奈川」も加わる事になります。オリンピック閉会後の観光客の現象具合如何では、お台場論の再燃も有り得ますし、今後はより誘致にまつわる議論が白熱してゆくものかと思われます。

 

で、先程「地域の活性化」というお題目があるという話をしましたが、その観点で言うと最も適しているのが「長崎」だと言われております。「遠いから無理」という論調の評をよく見かけますが、それはあまりに近視眼的です。ことIRにおいては長崎ほど優れた場所はないと筆者は思っています。理由は簡単です。IRを利用するのが海外の富裕層だからです。特に日本の場合、アジア地域からの旅行客がメインになるでしょう。彼らからすると東京よりも長崎のほうが「近い」のです。しかもハウステンボスという広大なハコもすでに完備され、発生する費用が他の地域に比べて劇的に安い。これが長崎が最有力候補地のひとつであると言われている理由です。

 

さらに言うと、ハウステンボスのある「佐世保」という土地は過去、日本に四箇所しかない鎮守府のひとつでした。つまり海軍の街なのです。今でも自衛隊と米軍の基地があり、大きめの戦艦が入港するときなどには一万人近い兵士が一時の歓楽を求め、街へと繰り出しては散財しています。つまり、カジノがあったら彼らが来ます。少なくとも彼らは絶対にくる。作ったは良いが閑古鳥……という状況は、少なくとも避けられるという大きな保険があるのも、これも大きな理由です。

 

あとは北海道。ここもかなり有力視されています。IRは「カジノ」ばかりが取り沙汰されますが、その敷地面積は全体の3%以下です。残りは「ホテル」「催事場」「会議場」「ショッピングモール」などで構成されますが、お題目としては日本の文化を海外に広げるパビリオン的な役割も担ってもらう必要があります。北海道は「アイヌ文化」の保護の名目を掲げることができるので非常に強い。アジア最北端の一大歓楽街・ススキノもある。あと土地も余っています。なによりアジアの裕福層は景観が美しく涼しい北海道が大好きです。なので普通に考えれば有力どころか鉄板に近い地域のはずなのですが、財政面での不安があるのが難点でしょうか。先日もIR誘致のコンサル料の2億の計上を巡って予算が見送りになったとのニュースを目にしましたが、実弾が飛び交う誘致レースの中で2億が払えない自治体は今後キツイだろうな……というのが筆者の感想です。そこさえクリアできれば……。

 

あと大阪。ここも実はキツイ。理由は巨額の負担金。そして開発投資金です。夢洲という場所特有の問題であるのですが、単純にここはお金がかかりすぎる。大阪市が事業者側にもとめている開発投資金はなんと9300億です。長崎は1/3の3000億程度で充分とされるなか、すでに5000億近い投資意向を持つ企業を確保していますが、それと比べるとあまりに高い。しかも夢洲は万博があります。万博前にIR……というのが最も良いシナリオなのですが、果たして間に合うのかというのが大きな疑問になります。広さは魅力なのですが……。

 

なので今後の流れを大胆予想すると、「長崎」は安定。「北海道」はギリギリ残留。そして「大阪」が脱落して「神奈川」が滑り込んでくるのではないでしょうか。当たったら褒めてください。結果が出るのは2年後です。

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