お酒と僕

泣き上戸とか、悪酔いして暴れるだとか、お酒のクセというのは人それぞれで、血液型ほどではないにしろ長い間、変わりにくいものという話も聞きます。

あぁ、この言い回しの愚痴は酔っぱらってるな、とか
あぁ、このタイミングでアクビをしたから明日覚えてないな、とか
よく飲む人ごとにメーターを感じることはありますが、
肝心の自分のメーター、酔い方についてはテーブルマナーと同じで人から言われないとわからないもの。

僕は泣いたり、暴れたりはしないのですが(数ある言葉の中から良い言い方をチョイスすると)天衣無縫と言われます。
どんなモードになるのか、どんなテーブルに滞在しているのか。
バジリスクの絆のテーブルより複雑なシステムが搭載されている模様です。


1年くらい前の写真でしょうか。
カラオケで頼んだハニートーストを食べながら、

ひたすら同じポーズを決めて、写真を撮っているのです。
記憶はおぼろげなのですが、聞くところによるとハニートーストをもの凄いスピードで食べ

芸術は爆発だ!

と、芸術家・岡本太郎さんのマネをしていたらしいです。
カラオケ、まったく関係ないという。
そして始発でふらふらと帰っては寝過ごして、熱海あたりまでプチ旅行するという。

ある時は、飲み会が解散しそうな流れのなか「あと2杯~、に~は~い~だ~け~」と言って、人差し指と中指を軽く曲げにゃんにゃんポーズをし、それでも皆が帰りそうだったので土下座をし、土下座をしたまま気絶したという複雑なテーブルに滞在していたこともあります。

その日もたしか、目覚めたら熱海でした。

できれば、できれば治したい……周りはネタとしてあたたかく飲んでくれていますが、できれば治したい。じいちゃん、おれを1回も叱らなかったじいちゃん。
おれもうすぐ、30だよ。じいちゃん、おれ、最近気づいたんだ。大人はあんまり怒らないって。怒らないことのほうが、怖いんだって。芸術は爆発するけど、大人の怒りはきっと、爆発しないんだ。

酔っぱらって熱海に行った後はたいてい、実家の仏壇に手を合わせます。
哀しさと祖父への慈しみをハイブリッドして、祈りは日々二日酔いの深さに比例して長くなってゆきます。

どう酔うかは中々、変えられるものじゃないかもしれませんが
お酒に付き合ってくれる周りもまた、変わらずにいてくれること
そして、気づけばいつも僕を受け止めてくれる熱海ならびに亡き祖父に感謝です。

※ 当サイトで使用しているホールや機械の画像はすべて許可を取り撮影し、掲載しております。

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