背中には目はないから!
先日の雨天の通勤時のこと。傘の枝を横持ちしている人がよくいます。駅構内の登り階段で前を行く人がそのように傘を持っていたのですが、後ろを登る私の目の前に傘の先っぽが。刺さるのではないかと、恐ろしくなった瞬間です。
またある時は、街を歩いていて。前を歩きながらスマホゲームをしているであろう女性が、ゲームの佳境であったのでしょう、急に立ち止まりました。真後ろの私はおっと!と慌てました。普段の生活において、背中にも目があったならいいのになと感じる場面にしばしば遭遇します。
とあるホール様での1コマ。そちらのお店では、スタッフさんが島を歩き通路に出る際、島端で丁寧なお辞儀をするというマナーを接客基準としているようです。しかも、頭を45度に下げて、5秒は優に。その時です。その後ろで私がその島に進もうとしているのに、全く気付かず頭を下げているわけです。背中に目はないですから、気付かないのも仕方がないですが、本当に邪魔なのです。目の前のお客様には最敬礼をして、後ろにいる他のお客様にはお尻を向け、しかも進路を塞ぐ。これって意外に腹立たしいものです。自分の後ろに人がいるという当たり前のことにもっと敏感になってもいいのではないでしょうか。多くの人が右に左に動き回るホール内では、後ろにいるであろうお客様にも常に心を配り、配慮をするという習慣こそが、心地いい接客への想像力につながっていくものです。
話は飛びますが、ホール様でのお辞儀のあり方も、今一度各ホール様で考え直されても良いのではと私は思っています。適したお辞儀が適した場面で行われているのか、疑問に思うことがしばしばあるのです。お辞儀とは本来、親愛の気持ちや敬意を示すために頭を下げて挨拶をすることです。お辞儀は会釈(通路等での軽いおじぎ、お客様をお迎えするときのおじぎで角度は上体腰から15度程度)・敬礼(お客さまや目上の人に対して敬意をもって行うおじぎで角度は腰から30度上体折り)・最敬礼(お詫びをするとき、深い感謝を表すとき、重要なお客さまをお見送りするときなどに用いるおじぎで、角度は45度程度)と3段階に分類ができ、先の島端での挨拶などは最敬礼ではなく、会釈程度が適しているように思うのです。しっかりと状況にあったお辞儀をしていないと、本来伝えるべき気持ちが伝わらず、反対に失礼な印象を与えてしまうものです。
一概に版で付いたように同じ型にはめず、お客様をお迎えする際のお辞儀、店内でお客様とすれ違う際のお辞儀、カウンターなどでお客様をお見送りする際のお辞儀、それぞれ状況に応じて伝えたいメッセージに即したお辞儀でお客様への敬意を表したほうがスムーズに心が伝わるのではと思ったりします。そうすれば、背中に目がなくても、後ろのお客様を不快にさせるような失礼も避けられるのではないでしょうか。
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