いよいよ蒸し暑さ本番です。この時期特に気になること。それが臭いです。ということで、今回は非常に繊細な問題、『スメルハラスメント』についてです。
先日知り合いのホール店長さんから、悩み相談を受けました。それは女性スタッフの一人の体臭が酷く、お客様からの苦情が多くあるとのことです。その彼女は非常に真面目で仕事にも意欲的に取り組んでいるようですが、ワキガが強いようで、薄着になりはじめた今日この頃、お客様から「彼女は臭うから」と度々の苦情があり、スタッフの方々からどうにかしてほしいとの要望があったそうなのです。非常に繊細な問題ですし、男性の店長さんがどのように彼女に伝えるべきか、非常に悩まれていました。分かります。これは本当に難しい問題ですよね。
実は私もかつてホールに従事していた時に同じ問題に直面したことがあります。今回のケースと1つ違ったのは、私もそのスタッフも女性、つまり同性だったということです。私が対処した時に気を付けたことは以下の3点です。
① ワキガについての知識をしっかりもつ
指摘するだけに留まらず、解決方法を見出せる可能性があるのかないのか、先ずはそこを知っておくべきでしょう。改善ができないことを指摘しても、何の解決にもなりません。ワキガの原因はアポクリン汗腺から出る汗に含まれる脂質やタンパク質、糖質、アンモニアなどの成分が皮脂と混ざり合い、それが鼻につく独特な臭いを発生させるとのことです。このアポクリン腺は遺伝的要素や生活習慣の影響から発生するようです。日本人は約10人に1人の割合でワキガの体質があるようです。又個人差はありますが、適切な処置をすることによって、その臭いは十分軽減できるということです。
② ワキガであることをハッキリ伝えなければ伝わらない
ここはポイントとなると思うのですが、ワキガを自覚している人は僅か約11.3パーセントであるということです。殆どの人が自身の臭いについての自覚がないということなのです。臭いが強いなどの言い方では、ワキガであることが伝わりきれず、対策がきちんとできない可能性がありますので、事実はオブラートに隠さずしっかり伝えなければいけません。
③ 精神的ケアとコンプラアイアンス
指摘を受けた方としては精神的なダメージはどうしてもつきものだと思いますが、少しでも軽くなるよう配慮が必要です。私の場合は同性同士であったことから、2人きりで話しをしました。ただし、今回のケースでは、異性間でもあることからコンプラアイアンスもありますし、2人きりでの指摘は避けたいところですね。精神的ダメージの矛先があらぬ方向へ行ってしまっては元もこもありません。ですので、女性役職者などの同席が無難かもしれません。例えば、体調を気遣うような質問をしてワンクッション入れてから事実を伝えるような配慮も必要でしょう。そして、皆がそう言っているとかお客様からの指摘だなど、本人が疎外感を持たぬよう、あくまで自分が気づいたこととして話すべきだと思います。
そして問題を提示するだけでなく、それに対する対処を幾つか示してあげたいところでしょう。アポクリン汗腺に効く「ワキガ専用 」の制汗剤・デオドラント剤が市販されています。それらにより、臭いを軽減させることは可能なようです。それぞれ体質によって効く効かないの違いはあると思いますので、いくつかを用意し自身に効果があるものを探してもらうことも大切でしょう。1つの商品を使ってみて効果がなかったからといって諦めてしまうのではなく、一緒に根気よく解決方法を模索していくことも大切だと思います。
愛情をもって本人に伝えてあげることで結果的には本人のためにもなり、そしてそのスタッフさんとの新たな信頼関係も築けるはずです。ワキガに限らず、体臭のする人はそれなりに周囲を不快にさせない気配りをしなくてはいけません。それができていないのは社会人としては配慮不足と言わざるをえません。ましてサービス業で働くには不適となってしまいます。仕事が真面目であっても、周囲との和を保てないのは会社には迷惑なはずです。注意をするポイントはその人が”臭い”ということより、”周囲への気配り”についてなのかもしれません。
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